2025-02-24
引っ越しの準備に追われる中、意外と見落としがちなのが「退去時の掃除」。
でも、原状回復の考え方や掃除の仕方を知らずに退去してしまうと、敷金が思ったより戻ってこない…なんてことも。
この記事では、掃除の基本からやるべき場所、プロに任せるべきかどうかまでを丁寧に紹介しています。
「掃除ってどこまですればいい?」と感じているあなたに、役立つ情報が満載です。
目次
退去時の掃除は、「原状回復」というルールと深く関わっています。
賃貸契約では、借主が住んだ後の状態を一定の範囲で元に戻す義務があり、それを怠ると敷金からの差し引きや追加費用の請求につながる可能性があります。
原状回復とは、入居前と同じ状態に戻す義務ではなく、「通常の使用による経年劣化以外の汚れや損耗を自分で修復・掃除すること」を指します。
例えば、家具の配置でできたへこみや日焼け跡は対象外ですが、油汚れやカビ、たばこのヤニなどは原状回復の対象とされることが多いです。
掃除は「できる限り元通りにきれいにする」意識で行うのが基本。
清掃不足が原因で原状回復費用が発生するケースもあるため、引っ越し前にしっかり対応しておきましょう。
敷金は、本来は問題がなければ退去時に返金されるものですが、掃除不足や破損があると、その分が差し引かれてしまいます。
特に、入居時の状態と比べて明らかに汚れている、臭いが残っている、などがあると「現状復帰のための費用」として請求されるリスクが高まります。
掃除を丁寧に行っておくことで、返金額が減ることを防ぎ、不必要なトラブルの回避にもつながります。
写真などで掃除後の状態を記録しておくのも、自己防衛として有効です。
掃除を怠ったことで発生する代表的な追加費用には、「ハウスクリーニング代」や「消臭作業代」などがあります。
これは、貸主側が業者を手配して通常よりも念入りな清掃を行わざるを得ないと判断した場合に請求されます。
場合によっては1万円〜5万円程度の追加費用が発生することもあるため注意が必要です。
退去時には、「次の入居者が気持ちよく住める状態かどうか」を意識して掃除を行うことが、結果的に自分を守ることになります。
賃貸の退去前に掃除すべき場所は、主に「使用頻度が高く汚れが目立ちやすい場所」。
ここでは、重点的に掃除しておきたい箇所とそのポイントを解説します。
キッチン周りは、油汚れや水垢が溜まりやすく、放置すると固着して落ちにくくなります。
換気扇やコンロ周辺、シンクの排水口などは特に汚れが目立ちやすいため、アルカリ性洗剤や重曹を使って丁寧に掃除しましょう。
換気扇のフィルターは取り外してつけ置き洗いをし、ベタつきを落とすのが効果的です。
キッチンは見た目の清潔感が印象を左右する場所なので、しっかり対応しておくと好印象につながります。
水回りは湿気が多く、カビや水垢が発生しやすい場所です。
特に浴室のタイルやゴムパッキン部分、トイレの便器の裏、洗面台の水栓周辺などは要チェック。
市販のカビ取り剤やクエン酸を使い、見えにくい場所まで丁寧に清掃することがポイントです。
水垢やぬめりを放置すると、プロの清掃が必要になるケースもあるため、早めに対応しておくと費用リスクを減らせます。
床は髪の毛やホコリだけでなく、家具の跡や黒ずみなどもチェックしておきましょう。
フローリングは中性洗剤と水拭きで丁寧に掃除し、必要であればワックスがけも。
壁のスイッチ周辺や手垢のつきやすい部分、窓ガラスやサッシのレール部分なども、掃除漏れが多いポイントです。
見落とされがちな場所を押さえておくことで、全体の印象が大きく変わります。
退去時の掃除は自分でできる範囲もあれば、プロに任せた方がよいケースもあります。
ここでは、それぞれのメリットと判断基準を整理して解説します。
基本的な掃除であれば、多くの部分は自分で対応可能です。
掃除道具をそろえ、計画的にエリアごとに進めれば、コストを抑えて丁寧な掃除ができます。
市販の洗剤・ブラシ・マイクロファイバークロスなどを活用し、汚れの性質に合わせた方法で作業することが大切です。
ただし、カビや油汚れが蓄積している場合や、時間的に余裕がない場合は無理せずプロの力を借りる判断も必要です。
プロのクリーニング業者に依頼する最大のメリットは、短時間で高品質な清掃が期待できること。
特殊な洗剤や機材を使い、手が届きにくい場所までしっかり対応してくれます。
また、掃除の仕上がりによって敷金返還の印象が左右される可能性もあるため、確実性を求める方にはおすすめです。
掃除業者を選ぶ際は、料金の安さだけでなく、実績・口コミ・作業内容の明確さも重視しましょう。
1R〜1K程度で15,000〜25,000円前後、2LDK以上で30,000円〜50,000円程度が相場です。
見積もり時には、何が含まれているか、オプション料金の有無、作業時間の目安などを確認しておくと安心です。
信頼できる業者に依頼することで、無駄なトラブルや追加費用を避けることができます。
退去時の掃除には、判断に迷うケースも少なくありません。
ここでは、よくある質問とその対処法を解説します。
掃除をしっかり行ったとしても、破損や通常の使用を超える汚れ・傷がある場合は原状回復費用が請求されることがあります。
ただし、正当な理由がある場合以外の請求は、ガイドラインに反する場合もあるため、納得がいかない場合は契約書や国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認しましょう。
掃除を丁寧に行うことで、無用な費用請求の可能性を大幅に減らすことができます。
退去後に「清掃が不十分だった」として費用を請求されることがあります。
その際は、入居時・退去時の状態を記録した写真や、掃除を行った証拠(業者の領収書など)が役立ちます。
一方的な請求に納得がいかない場合は、消費生活センターなど第三者機関へ相談するのも選択肢のひとつです。
主張を通すためには、記録と冷静な対応がカギとなります。
契約書に「クリーニング特約」がある場合、退去時に一定の清掃費用が必ず発生する取り決めになっています。
この場合は掃除の有無にかかわらず請求されることが多いため、契約前に内容をしっかり読み込んでおくことが大切です。
ただし、特約の内容が不明確だったり、通常の範囲を超える請求がある場合は、説明を求めることも可能です。
賃貸物件の退去時には、原状回復義務に基づいた適切な掃除が求められます。
清掃を怠ると、追加費用や敷金返還トラブルの原因になるため、重点ポイントを押さえて計画的に行いましょう。
必要に応じてプロの力も借りながら、スムーズに退去し、気持ちよく新生活を迎えましょう。
江上 孝明(エガミタカアキ)
株式会社調和プロダクトサービス代表取締役。
NTTに10年間在籍、1996年4月に同社を設立。
前職と全く異なる業界へ参入するも、高い手腕で取引先開拓を実現。
同社の前進となる事業にて、提携先の企業よりハウスクリーニング事業を引き継ぎ
現在、事業規模を引継ぎ時の4倍に成長させることに成功。
新築現場に一作業者として15年間従事していたため、現場での問題点や現場作業者の立場考え方を理解した上での会社経営を行う。
NTT在籍時代に培われたスキルを生かし、クレーム時の迅速な対応と適切なヒアリング
を得意とし、顧客満足度を高めるためのサービス供給を旨としている。
また、自身でも独自に研究を行い、理論的観点から汚れにアプローチするノウハウを多数
蓄積して現場に反映させている。
資格:2級ハウスクリーニング技士(H17.11社団法人 全国ハウスクリーニング協会(※))
※現:公益社団法人 全国ハウスクリーニング協会
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